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2010/08/16

アポトーシスを知って死を知る(ヒトはどうして死ぬのか-死の遺伝子の謎 幻冬舎新書)

ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)
田沼 靖一
幻冬舎
売り上げランキング: 345
おすすめ度の平均: 5.0
4 アポトーシスやアポビオーシスを理解するには最適の書
5 生きるために死ぬ。利己的であるために利他的でいる。
5 わかりやすく必要最小限
5 性と共に現れた生死の概念



脳科学の本読んだし、マネーロンダリングの本読んだし、次は生物とかその辺の本を読みたいな、と。最近は、学者さんもアウトプットが上手になって、読みやすい文章を書く学者さんが増えてうれしい限り。出版社も読みやすくないと売れないって気付いたのね。論文ばかりだと自己満足ですから、ね。

本書は、細胞のアポトーシス(プログラミングされた死)について書かれています。
胎児の成長や昆虫や両生類の変態は、生えてくる・変形する、のではなく細胞の自死によって行われているということは知っていましたが、その意味を教えてくれる著書です。

「医学的な現象はギリシャ語で名前を付けることが慣例となっている」
「ネクローシス=細胞の壊死=事故死、アポトーシス=細胞の制御死=利他死(防衛・制御)」
「オタマジャクシから甲状腺を取り除くとホルモンが分泌されなくなり、カエルにはなれずジャンボオタマジャクシになるだけ」
「多めに細胞を作って、そのあと自死することによって完成する」

そういえば、脳もキャパを使い切らないように出来ているのは、身体の環境順応や突然変異に対応すべく大目にキャパをとっているという理論を脳科学の本で知ったので、似ているなぁと。

「ネズミの細胞修復能力は弱くガンになりやすい。個体が生き残るより子を残す戦略」
「免疫細胞は、体内に拡散される前に生成段階で選別される。ダメな細胞は自死するのだが、それは全体95%にのぼる」
「ガン細胞とは、すなわちアポトーシスを忘れた細胞」

話は医薬品開発にも触れており、疾患に化合物を総当たりで試していく方法では、ひとつの医薬品が開発されるのに10~20年かかり、コストは200億円~500億円にのぼるようです。そりゃ、ソルジャーのような大量のMR(医薬品の営業さん)がカイシャに医者に滅私奉公で働くわけだ。著者は、そのような状況を患者さんにも製薬会社にとっても不幸だと、現状を歯がゆくおもっているようです。
残念ながら欧米では、期間も短く・コストも安く、という方法が進んでいるようです。もちろん手の内は見せませんが、確実に日本と異なるのは「複数の分野を横断的に学び、基礎研究から応用発展までの"橋渡し"できる人材がいる」としています。確かに、縦割りは教育段階から根付いており、いまでもスペシャリスト・職人がひときわ脚光を浴びるのが日本。この偏りが進歩を妨げているのは確かです。

アポトーシスというミクロの視点は、死という概念を考えさせられる題材になります。また、「生と死」が表裏一体なのではなく「性と死」が表裏一体という発見も新鮮です。

哲学や観念論で「死」を見つめるより、科学で「死」を見つめたほうが、より哲学的で観念的となり、しっくりと収まるのではないかな。悩まずに。

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